専門家の種類   心理学者になるには

アメリカのカウンセラー&精神科医の種類


心理カウンセラーや臨床心理学者、精神科医などアメリカには心のケアを仕事とするプロフェッショナルの種類が多い。同じことをしてるようにみえるけれど本当は全然ちがうのだ。

臨床心理学者、カウンセリング心理学者(Ph.D.s, and Psy.D.s)

心理学の博士号はいまのところ2〜3種類ある。一番メジャーなのはPh.D. (Doctor of Philosophy)だ。Philosophyて哲学だけど、医学関係以外の博士号保持者は大抵みんなPh.D.となる。それからPsy.D. (Doctor of Psychology)も博士号だ。この二つの違いはPh.D.は博士論文を書くなど研究も得意分野の一部とできることに対し、Psy.D.はもっとプラクティカル面を重視したものであること。カウンセリングをするに学会で発表するような実験研究などは必要ないからだ。Ph.D.は大学院へインターンシップを含めて5年、Psy.D.は4年になる。博士論文を書くのに1年かかるので。ただし大学でクラスを教えたりしたい人はPh.D.にしておいた方が仕事を取りやすい。ややこしいけどPh.D.はclinical psychology とcounseling psychologyがあるけど、Psy.D.は大抵の場合clinical psychologyである。

カウンセリング心理(counseling psychology)は臨床心理(clinical psychology)とは違う。カウンセリング心理のプログラムも臨床と同じようにリサーチと博士論文を書く。どう違うかというとこれは各プログラムの考え方に大きく関係するようだ。私の知っている限りではカウンセリング心理は心理アセスメントをあまり強調していないという感がある。心理学者になっても心理アセスメントは働く所によって使う所と使わない所がある。一般に病院は心理アセスメントをよく使う。大学のカウンセリングセンターは病院と比べてあまり使わないように思える。これも各大学のセンターのディレクターの考え方がによる。

Ed.D.(Doctor of Education)というのもPh.D.と同じものなのだが、大学によっては心理学部を教育部(Department of education)の中においている所もあるのでこういう名前の学位になる。

精神科医(M.D.)

日本でいう精神科医は英語ではPsychiatristといって学位はM.D. (Doctor of Medicine)、つまり医者になる。なので医大(medical school)に行かないと取れない。アメリカの精神科医は私の知る限りでは薬中心のカウンセリングをしている。臨床心理学者とチームをくんでセラピーは臨床心理学者、薬の投与は精神科医というのが多い。精神科医はmedical schoolのトレーニングの中でセラピーも勉強するために臨床心理学者とくらべてセラピーの経験が少ない。

Marriage and Family Therapist (修士レベル)

Marriage and Family Therapist(marriage, family, and child counselorから改名された)は博士号を持っている人もいれば持っていない人もいる。MFTというのは学位でなく資格(ライセンス)である。ライセンスをとるための資格は各州によって違う。MFTはLMFT(Licensed Marriage and Family Therapist)ともいわれる。この資格をとるために必要な最高学位は修士号だ。この修士号はM.A.(master of arts)、もしくは M.S. (master of science)である。一般にM.S.の学位の方が単位をたくさん取らなければいけないようだ。心理学者と同じように、彼らも卒業後にLicensing Hoursを稼ぐのだが、Supervision 一時間につき10時間のLicensing Hoursを稼ぐことのできる心理学者と違い、MFTインターンの人たちは「子供のセラピー」「家族セラピー」「夫婦セラピー」など種類別で何時間ずつ、という数え方をしながら卒業後3000時間のLicensing Hoursを稼がなくてはいけない。これはかなり大変で時間もかかるプロセスだ。

LCSW(Licensed Clinical Social Worker)も修士レベルだ。これは心理学の修士でなくsocial workの修士をとるのだが、ソーシャルワークの他にカウンセリング中心の特別なコースになる。このLCSWはこの業界にウン十年も君臨している資格で尊敬されている。ちなみにMFTはLCSWより歴史が短いので知名度は比較的低いかもしれない。ソーシャルワークは、郡(カウンティ)や州の社会福祉機関(Department of Children and Family ServicesやCounty Mental Health Department)が率先してソーシャルワーカーを育成していこうという動きが大変盛んで、留学生の人でも奨学金がもらえたり、「卒業後、カウンティ経営のクリニックで働くこと」を前提に授業料が無料になるプログラムがあったりする。

学士レベル、またはそれ以下でカウンセラーになるには
カウンティが経営しているクリニックや、ほとんどの非営利団体ではケースマネージャー(case manager)と呼ばれる人たちがいます。彼らの仕事はセラピストの補佐(患者の家に行ったり電話をしたりして現状を調べるとか)、そしてコミュニティの資源(各種プログラム)の紹介、生活保護のアプリケーションの手伝いなどです。これは学士レベルでなることのできる仕事です。あとはドラッグのリハビリテーションのクリニックや、グループホームなどのカウンセラーもたいていの場合は資格は問われません。学校のカウンセラーもセラピストの資格は要らないので学士レベルでなれます。




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