専門家の種類   心理学者になるには

アメリカで臨床系の心理学者になりたい!



心理学を目指す人の多くは研究関係よりもやはり実際に治療に携わりたいという人が多いみたいです。でも心理学者ってどうやってなるの?

心理学者というのは心理学の博士号保持者(Ph.D., Psy.D.)が最低条件です。アメリカでは心理学者は州によって発行される免許をもっていないと実際に治療することはできません。免許をまだもっていない学生や博士号保持者は免許をもっている心理学者の指導のもとにのみ治療にあたることができます。免許のガイドラインは州によって大きくちがいます。私の住んでいるカリフォルニア州は免許をとるのは難しいそうです。

免許をとるには、まず博士課程を終了する前に1500時間の経験が必要です。多くの学校はインターンシップという形でこれを必須科目のひとつにしています。1500時間というのはフルタイムで働い約一年程です。インターンシップも米国心理学会から認定されてるもの、されていないものと様々です。インターンシップは病院、大学のカウンセリングセンターや地域のクリニックなど様々ですが、米国心理学会から認定されているものは競争倍率がかなり高いです。たとえば大学の博士プログラムでも認定されている所とされていないところでは将来の仕事やインターンシップへ大きな影響があります。米国心理学会の認定というのはそれほどに高く評価されているのです。ちなみに私のやったインターンシップは某大学のカウンセリングセンターでしたが、そこは認定されていて、やはり倍率も高かったです。

博士号を修得したら、こんどはまた1500時間の経験をつまなければいけません。これもpost-docotoral internshipという博士課程をおえた後のインターンシップという形をとる人もいれば、病院やクリニック、大学などに就職して経験をつむ人もいます。どの場合にしろ、免許をもっている心理学者の指導のもと治療にあたります。

大学のカウンセリングセンターで就職やインターンシップをした場合は免除になりますが、病院やクリニックなどで働く場合は州のlicensing board(state board of psychology)という心理学者の免許を取り扱う機関への登録が必要です。

去年の9月からカリフォルニアではBoard of Psychologyの方針が変わり、面接(口頭試験)がなくなり、それに変わりCalifornia Jurisprudence Examinationという、州のメンタルヘルスに関する法律や倫理に関する選択肢問題のコンピューターテストになりました。そして以前は博士号を習得してから3000時間を終えないと筆記試験も受けられなかったのに、現在は博士号を習得し、1500時間を終えた人は筆記試験が受けられるようになりました。

そしてさらに、その「筆記試験」またの名をExamination for Professional Practice in Psychologyは以前は年に2回、しかも限られた試験会場へ行って受ける本当の「筆記」試験だったのに、今回の変更で指定された各地のコンピューターセンターへ行ってオンラインで受けれることになりました。でも内容は同じ。

ということで、心理学者の試験はコンピューターテストが2回、第一次がEPPP、そして第二次がJurisprudence。先輩たちの話によると、これによってかなりライセンス習得が楽になったそうです。しかし、話によると、第一次の合格率は50%くらいらしい。

筆記試験は・・・勉強するのがめちゃくちゃ大変です。課題が8分野(生物心理、認知心理、行動心理、発達心理、社会・多文化心理、産業心理、統計、アセスメント、異常心理、治療、倫理、など、その中でも、また細かく分かれている)それぞれから問題が出ます。しかも225問の選択肢(その中の25問は次の受験者のためのテスト問題開発用なのでカウントされないけど)。

サンプル問題があるので、怖いもの見たさで除いてみてください。

点数は200から800の間で、大抵500点とれたら合格するらしいです。

第二次試験は、まだ比較的新しい試験法なので、そんなにデータはないです。これも選択肢で、100問。州の倫理と心理学者に関する法律で100問できるのか?とツッコミを入れたくなるけど、実際、わけわからん問題ばっかり。同じような質問が形を変えて出てきたりするんだけど、めちゃくちゃ微妙。白黒はっきりした回答のできないものばかりなので、結構難しいかも。

ちなみに、試験を受ける前に、殆どの人は、勉強用の本を専門の会社から購入して(これがまた高い!)、何ヶ月も勉強して、セミナーとかワークショップへ行くのだそうです。

葉月はどうしたかというと、子供の頃から夏休みの宿題なんて、8月の最後の3日でやってたクチなので、試験勉強も実は試験の2ヶ月前から始めてしまったのです。

第一次の試験日が2月初頭で、勉強用の本も8月くらいに購入していたのにも関わらず、なんか勉強する気が起きず、気がついたら11月も終わりになってました。セミナーとかワークショップも当初は行く予定だったのに、遅すぎて申し込みも出来ない状態に・・・

あせって、自宅で試験勉強をしまくりました。クリスマスも正月も。でもあまりにカバーする内容が広すぎて、試験の前日になっても模擬で正解率が60%を超えなかった(合格するためには最低70%が必要)。 どえー!こりゃ落ちるな・・・と思いながら当日試験を受けたのですが、なんと結果は合格・・・しかも正解率80%以上で・・・周りより本人の方が信じられない気持ちになった。しかしこの勉強方はマジでお勧めできません。自分もラッキーだったとしか思えないし。

そんなこんなで、第二次試験を4ヵ月後に受けるとにしたのです。4ヶ月も間を開けたのは、「今回は地道にコツコツ勉強するぞ!」と思ってのこと。でも実際は、またサボってしまい(学習してない)、試験の2週間前に勉強を始めるという、「世間なめてるでしょ」と自分でもツッコミを入れてしまい、また模擬で正解率が低いという「なにこれ?デ・ジャヴー?」状態になっていたのでした。

結果は、正解率97%で合格。ここまで来ると、「もしかして試験勉強用の教材が難しすぎる?もしかして実際の試験は以外と通りやすい・・・?」と自分でも思ってしまうほどでした。でも試験中は「やっぱ難しいやん!!」と必死で、実際の試験の問題が教材より易しいとか思わなかったな。なので、このときもラッキーだったと思うことにしています。

そんなこんなで、試験に合格し、めでたく2002年の6月に心理学者の免許をとることができました。

でも免許とれたからって、世界が変わったわけではなかったですね。就職はしやすくなったかもしれないけど・・・


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