脅威の「くっつけ魔」アンの記録 フィリッパ・ゴードンの隠れた特技が「猫をクロロフィルムで殺す」なのなら、アンの隠れた特技の一つは「仲人」だろう。夫のギルバートでさえも「一度も失敗したことがない」と言っているのだ。面白いので、表をつくってみました。



カップル(アンブックス) くっつくまでの経緯とアンの関与 葉月のツッコミ
エンジェリーナ・マクファーソン(ピーター)とアレキサンダー・エイブラハム (友達「隔離された家」)  オールドミスのピーターは、人手の足りない日曜学校の教師になる。男子クラスか女子クラスかどちらかを選ぶことになり、まだ少女だったが「生きた疑問符」(赤毛のアン11章「日曜学校へ行く」でのエピソードで、以前の教師だったミス・ロジャーソンの事を嫌っているようなことを発言している。もしかしてアンがいびり追い出した?)で有名だったアンの担任になるのを避けたピーターが、欠席している男子生徒を訪ねていった先がアレックスの家だった。なんと彼の家は天然痘のため隔離中で、二人は同棲生活を送ることに・・・ この物語の語り口は私は大好き。ピーターが語り手になって、彼女の視点から書かれているのだが、無愛想な中年男女の物語なのに、まるで少年少女のようにお互いを意識しあっているのが丸分かり。理論武装しながらもかいがいしく家を掃除し、美味しいご馳走をこしらえるピーターと、文句タラタラいいながらも妙にソワソワしているアレックスおやじ。二人のやり取りも表向きは皮肉いっぱいなのに本当は照れ隠しなのがミエミエ。 
ラベンダー・ルイス
&ステファン・アーヴィング
(青春p344)
誰もが知っている仲人アンの初プロデュースカップル。ラベンダーとステファンは昔恋人どうしだったのだが、些細なことで喧嘩別れ。ステファンはその後米国で結婚、ポールという男の子ができるが妻は亡くなってしまう。ポールはアヴォンリーのおばあさんの所へ引き取られ、アンの教え子になる。ラベンダーとはアンがダイアナと道に迷った時、たまたま彼女の家を訪れた時に「腹心の友レーダー」にピピピと来たようで、その後かなり親密につきあっている。ステファンがあらわれた時、美中年カップルといえるこの二人にアンはロマンスの主人公にうってつけだと感動する。
アンのとりはからいでラベンダーとステファンは再会、そして結婚する。
テオドラ・ヴィックス&ルドヴィック・スピード (友達p7、愛情p88,210,246) テオドラとルドヴィックは長年の恋人同志。
でもルドヴィックの、どうも煮え切らないというかグズな性格の為に週に2回、15年も続けて会いにくるのに結婚の申し込みの気配がない。テオドラは悟りがはいって「まあ気長に待つさ」とアンに言うが・・・
アンがどうやってテオドラ達と知り合いになったのかは不明。でもテオドラの家にちょくちょく遊びに来ているようだ。「アンの愛情」p88で、レドモンドからクリスマス休暇で帰省したアンが「来週の晩、テオドラ・ディックスのところへ泊まりに行く」と言っている。
この二人の煮え切らなさは村でも有名なようだ。あのデイビーですら、「ルドヴィックはテオドラに、もう百年もお嫁さんになってくれって頼んでいる」と言っている。
それから一年半後の夏休み、山彦荘で2週間を過ごしたアンは、ルドヴィックのトロさにイライラして、ステファン・アーヴィングの友人のイイ男のアーノルド・シャーマンがテオドラの新しい崇拝者、という劇を演じさせ、見事ルドヴィックはテオドラに結婚を申し込む。(アンは自分以外の人間にはこんな悪魔的操作を平気でやらせるのだ!!)だがアーノルドの方はテオドラにちょっと惚れかかっていたのでがっかりしていた。
このカップルについてはツッコミどころは山ほどある。やっぱり一番いわねばならぬのは、

ルドヴィック、トロすぎ。

だろう。15年も求婚に通う呑気な彼も彼なら、気長に待ってるテオドラもテオドラだ。しかもテオちゃん、超イケ面で金持ちで性格も良さそうなアーノルドには見向きもしないとは、こりゃどういうことさ??  アーノルドはテオさんに惚れちゃったけど、あえて身を引くところが大人だよね・・・
ジャネット・スィート&ジョン・ダグラス(愛情p301)
ナンシー・ロジャソン&ピーター・ライト (友達「争いの果て」) 主人公の看護婦ナンシー・ロジャーソン、ルイザ・ショウとアンは知り合いらしい。「アンの青春」11章で、アンが友達に手紙を書き、先生としての楽しい経験のエピソードをナンシーが知っているところをみると、おそらくアンと同年代。ミス・ステーシーのクイーン学院予備校組には入っていないし、18くらいの時に恋人だったピーターと分かれ、アヴォンリーを後にして20年戻らなかったと書いてあるので、アンが小学校の先生をやっていた16から18歳の時に彼女も同年代で交流があったとみた。 このカップルも実はアンは直接かかわっていない。  
プリシー・ストロング&ステファン・クラーク(友達p255)
エズメ・テイラー&カーター博士 (幸福p108)
ドヴィー・ウェスコット&ジャーヴィス・モロー(幸福p362)
レスリー・ムーア&オーエン・フォード(夢の家)
ノラ&ジム(幸福p180)
ルシンダ&ロムニー・ペンハロー(友達「ルシンダついに語る」) いとこ同士(?)のルシンダとロムニーは恋人同士だったが、ささいな喧嘩(このパターン、ほんとに多いよね)で15年間口をきいていない。だが親戚の娘アリスの結婚式の夜、ちょっとした間違いからおいてきぼりをくらったルシンダをロムニーは送っていく。彼女を抱き上げて川を渡ろうとしたロムニーがすべってころんで二人ともびしょぬれになったところで、ルシンダがついに口を開く・・・  アンは直接この二人の仲直りに関与しないが、アンもルシンダも赤毛でパッと見はよく似ているらしい。アンは花嫁か花婿の知り合いなんだろうか?結婚式に出席していた。そして伝言を託された女性がルシンダと間違えてアンに帰りの足がないことを伝えるのだ。それで歩いて帰ることになったルシンダをロムニーが送っていく。